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Lesson.03*「ライド」と「レース」、2つの流れ |
◆馬の福祉を第一義とした近代的スポーツ馬術
エンデュランスは、80キロから160キロまでの長距離を走行し、馬と一緒にゴールを目指す馬術競技です。騎乗する馬の品種は問われず、走行中は、馬から降りても構いません。
特徴は、基本的なルールが、すべて馬の福祉をもとに作られているところ。代表的なものが、コースの途中で、馬の健康状態をチェックする、馬体検査です。ここで、馬が前に進もうという気持ちを持ち、競技を継続できる健康状態になければ、失権となってしまいます。
また、走行時間が長すぎても馬に負担がかかるため、160キロの場合は24時間以内など、制限時間が設けられています。
そして、最も速くゴールし、最後の馬体検査を通過した人馬が優勝となりますが、それとは別に、上位完走馬の中から、特に健康状態のよい馬に、「ベストコンディション・ホース賞」が贈られます。
この賞は、優勝と同じぐらい価値があり、まさに、パートナーである馬の福祉を第一義とする、エンデュランスならではの賞だと言えるでしょう。
◆自然に立ち向かう「ライド」と、順位を競う「レース」
馬の福祉を第一義にした基本的なルールは同じですが、エンデュランスは、比較的新しい競技ということもあり、現在、国や地域、主催者によって、様々な方向性やルールが混在しています。
大きな流れとしては、発祥となった「テヴィスカップ」を代表する「ライド型」の競技と、世界選手権など、国際馬術連盟が主催する「レース型」競技の2つに分けられます。
そもそも、エンデュランスは、アメリカの西部開拓時代のコースと、そのフロンティア・スピリットを末永く残すことを目的にした「テヴィスカップ」が始まりでした。
このような「ライド型の競技」の目的は、パートナーである馬と向き合い、共に困難な道のりに挑戦すること。舞台も、険しい山岳地帯など、自然のまま残されたコースが多く、順位よりも、完走することに価値があるとされています。
一方、1985年には、国際馬術連盟の公式種目となり、翌年からは、エンデュランス世界選手権も開催されるようになりました。こうした国際馬術連盟の主催競技では、他の人馬よりも優れた成績を残すことに意義があります。
より速い完走タイムが追求され、舞台には、時間のかかる山岳コースよりも、速いタイムが出やすい平坦なコースが選ばれ、「レース型」の競技として発展を続けています。
自然に立ち向かう「ライド」と、順位を競う「レース」。どちらにも、それぞれ価値がありますが、一方で、「ライド」を追求していくと、自然のまま残されたコースの確保が難しくなり、「レース」を追求していくと、競馬の延長となって、馬に負担がかかりすぎるなど、それぞれ課題もあります。
なお、この連載では、騎乗法やルール、馬のトレーニングなどどちらの流れにも対応できるように解説していきます。
◆外乗ファンのためのワンポイント講座
「勇気と憧れの象徴「テヴィスカップ」へ」
「最高峰の外乗コースは?」と尋ねられたら、誰もが迷わず「テヴィスカップ」と答えるでしょう。
「テヴィスカップ」は、かつてゴールド・ラッシュに沸いた西部開拓時代の荒涼とした原野や、シエラネバダ山脈の険しい道を越え、160kmを馬とともに一日で駆け抜けるライド。
厳しい自然に立ち向かう過酷さは想像以上で、これまで26回完走している大ベテラン、ハル・ホール選手でさえ、スタートラインに立つ度に「畏れ」を抱くと言います。
なお、日本人は、これまで7名が完走。なかでも、アラビアン・ホース・ランチの蓮見清一選手は、2009年8月の「テヴィスカップ」で、174組中、第15位でゴールし、見事、6回連続完走という偉業を達成しています。
決して気軽に挑戦できるライドではありませんが、この連載でしっかりと練習し、いつかは、この勇気と憧れの象徴である「テヴィスカップ」に挑戦してみてはいかがでしょうか?
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